勘亭流は、歌舞伎の看板や番付、提灯などに用いられてきた独特の書体です。 墨のかたまりのような太さと、余白を埋めるような力強い線が特徴で、 ひと目見ただけで歌舞伎らしい雰囲気を感じさせます。
なぜ太く書かれるのか
勘亭流は、単に目立つためだけの文字ではありません。 隙間なく書くことには「隙がない」「客が入る余地を残さないほど繁盛する」といった 縁起担ぎの意味があるともいわれます。
勘亭流の魅力は、読みやすさだけでなく、 文字そのものが場の空気をつくることにあります。
文字もまた舞台の一部
歌舞伎の世界では、役者、衣装、舞台装置だけでなく、 文字もまた大切な表現のひとつです。 看板や提灯に記された文字は、観客の気持ちを舞台へと引き寄せる入口になります。
力強さの中に独特の粋があり、伝統の中に遊び心も感じられる。 勘亭流には、そうした歌舞伎文化らしい美意識が凝縮されているように思えます。
提灯や看板とのつながり
勘亭流は、文字単体で眺めても魅力がありますが、 提灯や木札、看板などにのったときに、よりいっそう生きてきます。 光の中で浮かび上がる文字、遠くからでも目を引く輪郭。 そこには、実用品であると同時に意匠でもある、日本の文字文化の面白さがあります。