うつくしいもの帖|すれ違い
同じ方向を見ているつもりでも、
少しずつ、ずれていくことがあります。
言葉は届いているのに、
意味が届かない。
近づこうとしたはずなのに、
気づけば、少し遠くなっている。
すれ違いは、
大きな出来事ではなく、
ほんのわずかな差から始まります。
タイミング、
温度、
ほんの一瞬の間。
どれかひとつでも違えば、
同じ景色を見ていても、
別のものとして残ってしまう。
それでも人は、
また同じ場所に立とうとする。
完全に重なることがないと知りながら、
それでも近づこうとする。
その繰り返しの中に、
どこか、うつくしさがあるように思えます。