うつくしいもの帖|余白にあるもの
すべてが満たされているときよりも、
少し足りないくらいのほうが、
心に残ることがあります。
言葉を尽くすよりも、
言わずに残したほうが、
伝わることもある。
音が途切れたあと、
光が消えたあと、
人が去ったあとの空間。
そこには、何もないようでいて、
何かが確かに残っています。
見ようとしなければ見えないし、
感じようとしなければ通り過ぎてしまう。
けれど、ふと立ち止まったとき、
その余白が、静かにひらくことがあります。
満たされていないこと、
残されていること、
言い切られていないこと。
その中にある不完全さが、
かえって、うつくしさになることがあります。